LOGINさて、流れ的にバトルする羽目になってしまった。でもね、ぶっちゃけ俺結構ビビりだよ、他人にはバレないように強がってきたけどね。前世でもなるべく諍いは避けてきたしなあ。
でも売られたら買ってしまうスタンスだったし、根本的には短気なんだよ。喧嘩くらいは学生時分まではよくしてたから。相手がこっちよりビビってたら怖くないんだよね。もうそういうときってアドレナリン出まくってるし、スポーツでもゴール近辺だと気持ちが昂って仕方なかった。まあ冷静じゃないよね、本能のままにぶっぱするみたいなもんだし。
でもどれも対人間。魔物とか、RPGの中でしか戦ったことないから。子どものときに近所の狂暴な犬と死闘を繰り広げたくらいなだけだ。
冷静に考えて、平和な世界に生きてきた人間がそんなの相手に戦えるかい? 野生動物とか、家畜の牛やら馬、多分羊にも負けると思うよ、だって角生えてるし。早速ビビりが発動しながらアリアに尋ねる。
(モンスター? 魔物? ってそんなのどこにいるのさ? 結構長話ししてたと思うんだけど、それらしきものは全く見なかったぞ。森の中だってのに)
【えーと、それはですねー私が結界を張ってたんですよー。目覚めた瞬間に襲われるとか嫌じゃないですかー。カーズさんぐっすり眠ってましたし。それに私と話す時間も必要でしたしねー】
けらけらと笑いながら話すアリア。なるほど、結界ときたか、サラッとすごいこと言ったな。もうずっと張っておいて欲しい。
(ほほうー、ならそれを解除したら?)
【普通にこちらの存在が周囲に認識されますねー。魔物の方が人間よりも感覚器官が優れていますから。
(何それ、怖い。ごめん、胃が痛い気がする。持病の仮病が発病したみたいだわ)
【気のせいです。しかも自分で仮病って言っちゃってますよー。小粋なトークで誤魔化さないでく下さーい。そんな小ネタ言える余裕があるなら大丈夫ですよー。この辺りの敵はぶっちゃけ弱いですから。スタート地点にここを選んだのも、しっかりと経験を積むためって理由がありますからねー。さあさあ、起きて準備して、結界を解きますよー】
止める間もなくアリアが結界を解く。パリーン、と何か薄いものが割れるような感覚がした。結界解除の音だろう。うーむ、弱い敵ねー。
俺は立ち上がって周囲を警戒した。だが特に何もいないようだ。まあ流石にいきなり目の前に来るなんてないだろう。さっきまで結界があったんだし。少し安心した。でも何か話してないと不安になるんだよ、こういう時って。
(何も出てこないなー? ふっ、俺に恐れをなしたか。戦わずに勝つとはさすが俺)
でも地味に膝が笑う。いや、俺も余裕こいて笑いたいんだよ? だけど何が来るかわかったもんじゃないしさ、笑えねーよ。
【もー、それだけのスキルやら加護やら装備やら持ってるんですから、しっかりして下さい。この辺りにはいないようなのでこちらから近づきましょう。探知のスキルを発動させてみてくださーい】
あったな、スキル欄に。ならばと俺はもう無意識下に『知っている』という認識のスキルを発動させる。頭のアホ毛がピコピコと動く。これってアンテナかーい? するとレーダーのように周囲の大体200m辺りのことが脳裏に映し出される。おい、アホ毛……。こんな役割があったのかよ、優秀だなー。
その脳内のレーダーにまばらに映っている赤いマーカーのようなものがあることに気が付く。というか、肉眼では目の前の景色を、脳内ではレーダーを見ている。不思議な感覚だ。これが並列同時思考ってやつか、便利だな。しかしどれもこちらに向かってくる気配はない。
【うーん、やっぱりこの辺りは敵も穏やかですねー。ということでこちらから仕掛けましょうかー。逆探知のスキルを一番近い魔物に向けて発動させてみて下さーい】
集中してスキルを発動させる。すると俺が狙いを定めた奴がこっちに向かって来た。探知はこちらからバレないように周囲を警戒するなら、逆探知はこちらの存在を無理矢理相手に伝えるスキルのようだな。
取り敢えずアストラリアソードを抜いて、その方向の空間に構えておく。怖えー! 音が近づいてくる。さてさて鬼が出るか蛇が出るか、まずは初戦闘! いきなりデッドエンドはごめんだし、やってやろうじゃないか!
脳内に声が響く、これは自動的にスキルが発動してくれているのだと認識できる。
<精神耐性SS・
プレッシャーが軽くなる。そして周囲を先程までよりも深く落ち着いて感じ取れる様になった。
【あっ、もう目の前に来ますよー!】
茂みから飛び出してきたのはでっかい黒い熊。マジ? 熊のワンパンで人間て軽く死ねるよ? だがもう後には引けない。熊との距離はまだ約20m。まずはステータスを視てみるべきだな、鑑定だ。
<ブラック・ベア C >
筋力 :25
敏捷 :18
魔力 :1
物理耐性:15
魔法耐性:10
魔物に幸運値は意味ないのか? 視えてないってことはそういうことなんだろう。HP、MPも視えない。そこまで万能じゃないってことか。だが何でもかんでも視えてしまうのは面白くない。
しかし、これは普通のレベル1がソロで相手をしても勝てないだろうな。だって熊だよ? アリアめ、あとで文句言ってやる。でも相手のステータスを視て少し安心した。俺のよりあらゆる面で劣っている。
などと考えている内にドスドスと巨体が走って来る。逆探知を仕掛けたせいなのかやたらと攻撃的な
そう、軽くジャンプしたつもりだった。が木々を見下ろせる高さまで跳躍してしまっている。マジかよ、体が異常に軽すぎる、これも魔力や装備の力ってことか? コントロールできるまで時間がかかりそうだ。
ふう、何とかシュタッ、と着地。ぶっちゃけ25mプール以上くらいの高さだったと思う。多分だけど、マジ意味わからん。
クマさんから少し離れた位置で剣を構えなおす。クマさんが驚いたような顔をしてるように見える、うん分かるよ、俺も驚いてるからね。
【カーズさん、そろそろ攻撃しましょうよー。コントしてる場合じゃないですよー】
このやろー! 簡単に言いやがって。自分の常識以上の力って今知ったけど、厄介極まりないんだな。下手したら自分で自分にダメージを与えそうだよ。でもいいぜ、次はこっちが攻撃する番だな。
【剣に意識を集中させて、相手との距離を詰めて下さい! 一瞬で決めましょう!】
(OK、もう自棄だ、やってやるぜ!)
互いの距離が近づく、その瞬間に熊が右前足を振り上げる。咆哮とともに攻撃に移る巨大な熊の迫力がヤバい。だが明鏡止水のおかげで、俺は冷静にその動きを捉えることができている。
<
熊の右前足が繰り出す攻撃の軌跡、俺の左肩から斜めに切り裂くイメージが視えた。この瞬間全てがスローモーションに感じられて、更に自信も湧く。精神耐性のおかげだろうか? そしてそのとき脳裏に浮かぶアリアのソードスキル。それが体をどう動かせばいいのかを伝達してくれる。あとはその動きをなぞるだけだ。
「アストラリア流ソードスキル!」
熊の右手を掻い潜るように右足を軸に回転、加速した勢いで体ごと薙ぐように左手を振り抜くと同時に、剣が風の魔力を纏いエメラルドグリーンに輝く!
「テンペスト・カウンター!」
そのまま横薙ぎの斬撃が熊の胴体を真っ二つに切り裂いた。5m以上はあるブラック・ベアの図太い胴体を両断できたのは剣閃から放出された風の魔力が攻撃範囲を広げているからだ。当に
「ふ、はああああああああー……」
緊張が一気に解けて、息を吐き出しながらその場にぺたんと尻から座り込んだ、というか腰が抜けた感じだ。
【お見事です、カーズさん! 素晴らしい一撃でしたねー、ブラボー! ヒューヒュー!】
この古いノリに付き合うのは今はしんどいっすーw
「あー、怖かったー!」
当然の反応だよ。初めての人間以外との武器を交えた命のやり取りの戦闘。しかも熊だよ、熊! 森のクマさん超狂暴! 童話みたいに優しく「お逃げなさい」なんて言ってくれない、地球のクマより絶対ヤバい! 熊よけの鈴持ち歩いていたって余裕で襲ってくるだろ、あれ!
【どうですかー、落ち着きましたかー?】
(……うんまあ、少しはね。ていうか初戦闘が熊とか……、ないわー。マジ怖かったし、死ねると思ったよ)
まだ剣を持つ左手が震えている。でも、恐怖もあったが熊の懐に飛び込んで行ってスキルを出す刹那の瞬間、何か不思議な感覚を覚えた。興奮? いや、違うな、もっとこうアドレナリンが噴き出すような感じだ。多分前世でも感じたことがあるような気がする。でもはっきりとはわからない。それはこれからの戦闘経験でわかるはずだ。何となくそんな実感があった。
【ええー、Cランクの上位くらいなので雑魚ですよ雑魚(笑) だって一撃だったじゃないですかー?】
<レベルアップしました、スキルの更新を行います>
お、さっきの声だ。こういうとこ本当にゲームだな。あとで確認しておこう。それよりももっと俺自身が経験を積む必要がある。このままでは宝の持ち腐れが過ぎる。
(うん、まあそれは全部アリアのスキルの御陰だしさ、俺自身がもっと鍛錬して自力で繰り出せるようにしないといけない。じゃないとスキルに振り回されるだけだし、ソロじゃなかったら味方ごと斬ってしまうかもしれないしな)
【そうですねー。レベルも上がったみたいですし、まだまだカーズさん自身が成長する余地はたくさんありますしねー。もっと実践しないとですねー!】
なるほど、さっきの声はアリアにも聞こえているのか。ならどういう条件でスキルが発動するのかとか、使い方とかちゃんと習う必要がある。
(そういうこと。だから魔力のコントロールとか、武器の扱いとか戦い方とかスキル、魔法の使い方についても教えてくれ。無力なことの辛さは痛いほど知ってるしな。ということで、この辺の魔物は片っ端から狩る!)
【はーい! しっかり教えますよー。カーズさんのお望みならいくらでもー!】
俺はサンキュと答え、先ずは探知に映っている魔物をアホ毛をピコピコさせながら片っ端からアリアの指南を受けながら狩って回ることにした。
(……大虐殺? 物騒だな、でも虐殺ってことはそれを行った奴らが居たってことだよな? 狂った奴らが核兵器みたいなもので世界が崩壊して人類が滅ぶくらいの爆撃とかしたのか?) 虐殺だから誰かが行ったというのが妥当だろう。自然破壊で滅ぶってのも、巨大隕石が落ちたってのもなんか違う気がする。【そうですね、人間を絶滅させるくらいの兵器とかはあったでしょう。それでも一人も残さず絶滅させるとなると、不可能ですね。シェルターのようなものに避難したり、運良く助かる者もいるでしょうから】 ダメだ、俺の頭じゃそんな芸当が出来そうな人間はいるわけがない、としか考えられない。ん、待てよ。確信がないがそれが出来そうな存在なら居るのは居る。でも……、まさかだけど。【カーズさんの推測は当たっていますよ。そんな芸当が出来るのは人間以上の存在】(ならやっぱり……)【……神です】(マジかよ……。何となく察しはついてたけど、神様直々に手を下すとか普通にない気がする。でも俺の勝手な見識だし、地球で神の存在なんて感じたこともないしな)【地球の神々は基本的に無干渉ですね。気が向いた時だけ歴史を修正する程度ですから、決して人前に姿を現しませんし、宗教なんて人間が勝手に創ったものですよ。中には人に紛れて遊んで暮らしてる神も居たりしますが。ですがこの世界ではもうすでに2回も神による大きな変革が行われています】(てことは2回もその大虐殺が行われたってことだよな? ……どうしてそんなことが?)【1度目は約1万年前。そのとき私はまだ生まれていませんでした。2度目は5000年ほど前で、それがニルヴァーナというこの世界の成り立ちです。でも人間たちはそのときの歴史に関することを知りません。そしてニルヴァーナという意味すら知らずにこの世界をそう呼んでいるに過ぎません。誰がそう名付けたのさえ知らないのです】(2回も世界を変革したのはなぜなんだ……? 人間は何をしたんだよ?!) 滅ぼされるなんてよっぽどだ。地球でも同じことが起こる可能性もあるけど、最早俺には関係のない話だ。地球なんざ1回滅んだ方がいいと思う。アリアはふう、と溜め息を漏らしながら、また話し続ける。神様が溜め息を吐くほどのことなんだろうか?【1度目は今の地球と酷似していると言った方が分かり易いですね。人間は互いに互いの利益の為に争いを続けました。
魔物の群れに向けて魔法を放つ、サンダー・ジャベリン。文字通り雷の槍だ。スキル弱点看破で目に映るのは相手の眉間だ。そこに標的化して狙いを定めて魔法をコントロールする。もう敵の数に合わせて発動できるくらいにはなった。超成長の恩恵だね。 ズドン! バチバチッ! バリバリバリィ!! 眉間を射抜かれながら追撃で電流が敵の全身を駆け巡る。今相手にしているのはビッグ・ボア、所謂でっかい猪だ。食べると美味いらしい。10頭程の群れだが、3頭急所を外してしまったのでまだまだコントロールが足りないな。仕方ない、残りは武器で対応しよう、鞘から抜き取ったのは女神刀。さすがに和名の日本刀には横文字は使わなかったみたいだ(笑) アリアさん、分かってらっしゃる。 まだ『抜刀術』は難しい、鞘の中で摩擦を起こし剣閃スピードを上昇させるということだが、刀剣を鞘から抜き放ち、さらに納刀に至るまでをも含めた動作が、高度な技術を有する武芸として成立しているくらいだ、一朝一夕で出来るものではない、普通に振り回すのがまだ精一杯だ。 残りの猪に向かって加速する。丁度3頭魔法で痺れて眼前に並んでくれている、「アストラリア流刀スキル」 弱点の眉間に向けてほぼ同時に瞬速の3連撃を1頭に1撃ずつ放つ、虎のツメの如き三連撃。「虎爪閃!」 ザザシュッ! ザヴァァーン!!! 全て的確にヒットした。断末魔とともに巨体が崩れ落ちる。<レベルアップしました、スキルの更新を行います> お、レベルも上がったな。「ふう、結構頑張ったな、ちょっと休憩しよう」 自身に新しく習得した気配遮断と物理結界に魔法結界を張る。俺の存在が認識されにくくなる。透明人間みたいなもんだ。とりあえず狩ったビッグ・ボアを片っ端から異次元収納庫に突っ込む。アリア曰く、【狩った魔物は体の部分が素材になったり、食材になったりしますからー、街のギルドで売って路銀に代えましょう。その時についでに冒険者登録をしておくといいでしょうねー】 ということらしい。なので最初に倒したクマさんから全部そこに突っ込んである。ちなみにこの中に入れている間は時間の制限がないらしい。新鮮なままお届け可能なのだ。クール便のようなものだということにした。そしてどのくらいものが入るのか聞くと、
さて、流れ的にバトルする羽目になってしまった。でもね、ぶっちゃけ俺結構ビビりだよ、他人にはバレないように強がってきたけどね。前世でもなるべく諍いは避けてきたしなあ。 でも売られたら買ってしまうスタンスだったし、根本的には短気なんだよ。喧嘩くらいは学生時分まではよくしてたから。相手がこっちよりビビってたら怖くないんだよね。もうそういうときってアドレナリン出まくってるし、スポーツでもゴール近辺だと気持ちが昂って仕方なかった。まあ冷静じゃないよね、本能のままにぶっぱするみたいなもんだし。 でもどれも対人間。魔物とか、RPGの中でしか戦ったことないから。子どものときに近所の狂暴な犬と死闘を繰り広げたくらいなだけだ。 冷静に考えて、平和な世界に生きてきた人間がそんなの相手に戦えるかい? 野生動物とか、家畜の牛やら馬、多分羊にも負けると思うよ、だって角生えてるし。早速ビビりが発動しながらアリアに尋ねる。(モンスター? 魔物? ってそんなのどこにいるのさ? 結構長話ししてたと思うんだけど、それらしきものは全く見なかったぞ。森の中だってのに)【えーと、それはですねー私が結界を張ってたんですよー。目覚めた瞬間に襲われるとか嫌じゃないですかー。カーズさんぐっすり眠ってましたし。それに私と話す時間も必要でしたしねー】 けらけらと笑いながら話すアリア。なるほど、結界ときたか、サラッとすごいこと言ったな。もうずっと張っておいて欲しい。(ほほうー、ならそれを解除したら?)【普通にこちらの存在が周囲に認識されますねー。魔物の方が人間よりも感覚器官が優れていますから。攻撃的な魔物だとすぐやって来るでしょうねー(笑)】(何それ、怖い。ごめん、胃が痛い気がする。持病の仮病が発病したみたいだわ)【気のせいです。しかも自分で仮病って言っちゃってますよー。小粋なトークで誤魔化さないでく下さーい。そんな小ネタ言える余裕があるなら大丈夫ですよー。この辺りの敵はぶっちゃけ弱いですから。スタート地点にここを選んだのも、しっかりと経験を積むためって理由がありますからねー。さあさあ、起きて準備して、結界を解きますよー】 止める間もなくアリアが結界を解く。パリーン、と何か薄いものが割れるような感覚がした。結界解除の音だろう。うーむ、弱い敵ねー。古代竜や
(アリア、どの装備もSランクなんだけど……。しかも補正値えげつないし。どんなもので出来てんの? とりあえずこのバトルドレス。ドレスって、俺男だよ) トンデモ素材が使われているのは間違いないだろう。でもそこはちゃんと把握しないといけない。先ずはこの服の見た目だ。黒のロングコートにもワンピースのようにも見えるが腰から上は体にフィットした服になっている。大きな襟が左右に2枚ずつ胸の下あたりで止めてある。インナーに白と黒のシャツの様なものがあり、首の半ばまでの長さだ。左右の肩にはショルダーガード、肩から下はまるでメイド服。肩回りが膨らんだデザインに、袖は長く肘の辺りからフレアーなデザインで袖先にはレースのフリルがご丁寧に付いている。それは腰から下の部分のコートのようなスカートみたいな部分も同じで裾にはこう、メイドさんのひらひらでギザギザなフリルだ。 どう形容したらいいのか、ぶっちゃけ俺のファッションに関する語彙力では無理だなあ。腰から下の前方は開いており、身に着けているのはズボンだ、良かった。腰から下のコート部分にはこれまたショルダーガードの素材と同じようなプレートがこう、鱗のように重ねて装着してあり、防御力も高そうだ、イメージ的にステイナイトな剣使いぽい。そして膝下くらいの茶色のブーツ、踵部分に羽がデザインしてある。これはぶっちゃけカッコイイ。 全体的に黒を基調としているが、縁取りは赤、レース部分は白だ。胸の上部には硬い金色のプレートが付いている。そして手には指先だけ出ているグローブ。ナックルの部分に超硬い金属のようなものが付けられている、これで殴られたら痛いだろう。見たらわかる、絶対死ぬやつやん普通に。でもね、なんと言っても軽い。凄く伸縮して動き易そうなのだ。【まあ結構中性的なデザインで作りましたしねー。レースやフリルは私の趣味でーす! もしMPが枯渇しかけたら女性側に肉体が引っ張られてしまいますからー、そんなときでも違和感なく着られますよー!】 言い切りやがったよ……、ものすげー潔いな……。(やっぱ自分の趣味じゃないか。でもそこまで自信満々で言われちゃあ、いっそ清々しいよ。で、何で出来てるの? てかどうしても女にさせたいのかよ?)【ふふーん、地上で最も硬いと言われるような鉱石素材、オリハルコンやアダマンタイト、ガマニオンに|星
【それでは『ステータス・オープン』と声に出すか、心の中で念じてみて下さい】 周囲には誰もいないので、アリアに言われた通り口にしてみる。するとゲームのステータス画面のようなものが表示される。★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★<カーズ(・ロットカラー)∞歳(18~20歳相当)男 魔法剣士>称号 :女神の戦士Lv :1 (+50/装備補正)HP :1200(+500/装備補正)MP :2400(+500/装備補正)筋力 :100 (+250/装備補正)敏捷 :150 (+150/装備補正)魔力 :1200(+350/装備補正)物理耐性:150 (+2650/装備補正)魔法耐性:150 (+2650/装備補正)幸運値 :50 (+100/装備補正)<装備><アストラリアソード(S:カーズ専用)>物理攻撃力:1250魔法攻撃力:∞(込めた魔力量により最大値増加)<女神刀(S:カーズ専用)>物理攻撃力:1250魔法攻撃力:∞(込めた魔力量により最大値増加)<アストラリアナイフ(S:カーズ専用)>物理攻撃力:1250魔法攻撃力:∞(込めた魔力量により最大値増加)<バトルドレス(S:カーズ専用)>物理耐性:1200魔法耐性:1200(込めた魔力量により最大値増加)付与効果:自動回復(S:100/秒でHP・MPを回復する) :状態異常耐性(S) :魔力ヴェール(S:物理/魔法防護膜を自動展開/ 込めた魔力量で範囲/効果上昇) :HP+500 :MP+500 :筋力+150 :敏捷+150 :魔力+150 :物理耐性+150 :魔法耐性+150<ドラゴングローブ(S:カーズ専用)>物理攻撃力:1250魔法攻撃力:∞(込めた魔力量により最大値増加)物理耐性:550魔法耐性:550付与効果:衝撃追加(S:竜の息吹 :込めた魔力属性のブレスが発動)<ペガサスブーツ(S:カーズ専用)>物理耐性:350魔法耐性:350付与効果:飛翔(魔力を込めると発動)<グリ
目が覚める。大の字に寝ていたようだ。見たことのない木々の間から真っ青な空が見える。森かな? マジかよ……どうやら本当に転生したみたいだ。大きく深呼吸をすると、田舎に帰ったときよりも美味しい空気だった。都会の喧騒で汚染されたものと違い、沁みわたるような感覚を覚えた。とりあえず起きよう、上半身を起こしたとき頭の中で声が響く。【あっ、おはようございますー。私でーす、私ー】 ん? このはっちゃけたときの井上麻里奈さんみたいな声は……、どうやら女神アストラリアの様だな。(えーと、私私詐欺ですか?) 心が軽く体も力が漲るようで、憑き物がおちたように思考もクリアだ。【切れっ切れの返しですねー。そうです私ですよー、あなたの素敵な女神アストラリアですー。色々と設定し忘れたことがあるので、これから決めていきましょう。それと冒険や戦闘の指南です。所謂チュートリアルってやつですねー】 なんか抜けてる女神様だな。でもとっつきやすくて気安い感じだ。(何でしょうか? 決めてないこと?) うーん、と頭を捻る。【ほらー、まずは名前ですよー名前! 日本人ネームのままだとここでは違和感があるでしょうから、現在の名前から多少いじって作りましょう】 そういうもんか。ナギトでもいいけどそのまんまだしなあ。違和感ないとは言い切れないし、新しい人生だ。この際変えるのもアリだな。(じゃあ、和士の和のところを別読みで、カズ、ファンタジーぽいなら『カーズ』でいいですか?) ぶっちゃけ名前とかどうでもいいんだが、折角だしな。乗っておこう。ゲームでもたまに使う名前だし。因みによく間違われるが、呪いはカース、curseだ。(名字はどうしましょうか? アストラリア様、センスのある変換お願いします) 丸投げでも女神様のがセンスは良いだろう。ぶっちゃけそういうのめんどくさいんだよね。【あらー、いいんですかー? では一色をもじって……今のカーズさんはご希望通り赤髪に毛先に金のメッシュが入ったような色合いですから、まあ赤色ってことで『ロットカラー』なんてどうでしょうかー?】 流石の女神様。カッコイイ。ロットとかロッソってラテン語で赤だよな。てかそんな色になってるんだな。長めの前髪を引っ張って見てみる。うん、近すぎてよくわからんな。(カーズ・ロットカラーか、いいですね! もうそれでOKで